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雪合戦


        飛空都市に大雪が降った。
        雪は一向にやむ気配もなく、積雪量30cmを超えたとある日。
        飛空都市では恒例行事となっている『守護聖対抗雪合戦大会』が開かれた。
        この大会は積雪量が30cmを超えた翌朝に行われるもので、日頃あまり運動する機会がない守護聖達のため、
        そして守護聖同士で親睦を図るために開催される。
        毎回出席するのは年少組と呼ばれるランディ・ゼフェル・マルセルぐらいなもので、あとはほとんど出席しない
        のが通例となっていた。
        だが。
        今回は違った。
        何と一人を除いて守護聖全員が出席を表明したのである。
        皆が出席を表明したのはただ一つ。
        優勝者は女王候補であるアンジェリークと一日デートできる、という特典がついたためだった。
        そして、出席を表明したルヴァとマルセルも風邪をひいてしまい、今回は審判という役目に回った。
        優勝商品(?)であるアンジェリークも白い息をはきながら各守護聖の応援をしている。
        唯一出席を表明しなかったのはオリヴィエ。
        理由は「雪で反射された紫外線がお肌に悪いから」というもの。
        何はともあれ、ルヴァ・オリヴィエ・マルセルを除いた6人が早くもコートの上で火花を散らしていた。
        大会のルールは、まず赤組と白組の2組にわかれ、勝った組の3人が優勝決定戦を行うというもの。
        くじ引きにより、赤組にはジュリアス・オスカー・リュミエール。
        白組にはクラヴィス・ランディ・ゼフェルという形になった。
        「あ〜それでは・・・雪合戦大会を始めます〜」
        大きなマスクをしたルヴァの宣誓を合図に『守護聖対抗雪合戦大会』が始まった。
        雪をほどよい大きさに丸めた玉を作り、白組は赤組の守護聖に、赤組は白組の守護聖めがけて投げつける。
        ぽすっ! ぽすっ!
        と静かな雪の玉が飛び交うのを満足気に眺めているルヴァとマルセル。
        「けっ! テメーらおっさん達に負けてたまっかよ!
         ランディ、もっとどんどん投げろよ!!」
        「ああ、わかってる!」
        やはり元気が良いのはゼフェルとランディ。
        クラヴィスは二人の間でせっせと雪の玉を作っていた。
        一方の赤組も、ジュリアスとオスカーが一生懸命投げ、リュミエールがおっとりと雪の玉を丸めている。
        「リュミエール、そんなゆっくり丸めてちゃ勝てないぜ?
         こうやってだな・・・」
        「あ・・・」
        リュミエールが丸めていた雪の玉を横取りし、手早い動きで雪の玉を作っていくオスカー。
        互いに投げては投げられ、全身が真っ白に染まっていく。
        もちろん6人の心の中は『勝てばアンジェリークと・・・』という想いでいっぱいである。
        やや白組が優勢となってきたその時。
        ぽすっっっ!!!
        一人投げる側に回っていたジュリアスの後頭部に衝撃が走った。
        「・・・な?」
        前から飛んでくるのであれば話はわかるのだが、何故背後から・・・?
        自分の後ろにいるのはオスカーとリュミエール。
        ましてオスカーが雪の玉を投げるはずはない。
        ───となると・・・リュミエールが?
        ま、まさか、向い側のコートににいるクラヴィス達を勝たせようとして?!
        そのような卑怯な事は許さぬ!!
        だいたい審判は何を───
        怒り目でルヴァとマルセルを見れば、二人とアンジェリークが仲良く談笑しながら温かいお茶を飲んでいる。
        まったく───!!!
        怒筋を立てて振り返ったジュリアスの目に飛び込んだもの。
        それは、リュミエールが驚いたように口元に手を当て、オスカーを見ている姿だった。
        そのオスカーは今まさに雪の玉を投げようとしている。
        「オスカー!!!!!」
        ぼすっっ!!!
        ひときわ大きな雪の玉がジュリアスの顔面の直撃。
        「ジュ、ジュリアス・・・様」
        敬愛するジュリアスに雪の玉を投げつけたオスカーは慌てて側へ駆け寄った。
        それを見て、一人でくすくす笑っているリュミエール。
        何のことはない。
        せっせと雪の玉を作っているオスカーを尻目に、ジュリアスの後頭部めがけて雪の玉を投げたのは
        リュミエールだったのだ。
        オスカーはこちらの状況が劣勢と判断し、まずは大き目の雪の玉を作って、ゼフェルとランディに
        投げつけようとしていただけだったのだが───
        ぼすっ! 
        怒りのあまりに震えているジュリアスに追い討ちをかけるように雪の玉が投げられた。
        「・・・・・」
        ぼすっ! ぼすっ!!
        投げているのはクラヴィス。
        それも口元に実に楽しそうな笑みを浮かべ、ジュリアスめがけて雪の玉を投げつけている。
        「クラ───!!」
        ぼすっ! ぼすっ!! ぼすっ!!!
        「ク・・・・!!!!」
        ぼすっ! ぼすっ!! ぼすっ!!! ぼすっ!!!!
        ぷちん。
        ジュリアスは自分の中で何かが切れる音を聞いた。
        そして───
        「クラヴィスっっっっっっっっ!!!!!!!」
        「───フッ。
         ぼーっと突っ立ってる方が悪いのであろう?!
         まるで的のように当ててくれ、といわんばかりのお前が・・・」
        「・・・・クラヴィス〜〜〜!!!」
        「何だ? 投げてこないのか?
         雪合戦とはいえ大切な行事・・・『守護聖として怠慢』ではないのか?」
        あきらかに馬鹿にした口調に、ジュリアスはクラヴィスに掴みかかった。
        「〜〜〜クラヴィスっっっっっっっっっっ!!!!!!!!」
        オスカーが必死で仲裁にはいったが、ジュリアスは頭に血が上りきっていて、聞く耳をもたない。
        光と闇の守護聖が雪上で格闘を行っているのを見て、ゼフェルがオスカーに飛びかかった。
        「くらえっ! おっさん!!」
        「お前───!!」
        「だいたいなぁ、女といちゃつくことしか頭にない奴はこうしてやるぜっ!」
        「ゼフェル!」
        「ルヴァ様、マルセル、いくぞー!!! あはははははは!!!」
        「ああああああ〜〜〜」
        「やめてよ、ランディ!!」
        リュミエールは相変わらず微笑みながら、オスカーに向かって一生懸命雪の玉を投げ始めた。
        「あ〜〜〜・・・・」
        「みんなやめてよー!!!」
        すざまじい光景を見て、止めに入りたいのだが止められないルヴァとマルセル。
        その二人にもランディからの雪の玉が襲いかかる。
        そして唖然としてその光景を見ているアンジェリークの肩を叩く者。
        「・・・オリヴィエ様・・・」
        オリヴィエは『しっ』という風に唇に人差し指をあてて、アンジェリークを連れ出した。
        
        
        「皆さん大丈夫なんでしょうか?」
        外とはうってかわって温かいオリヴィエの執務室。
        出されたお茶を飲みながら、アンジェリークは心配そうに尋ねた。
        「大丈夫、大丈夫★
         一見、仲悪そうに見えても、ああやって親睦を深めてるってワケ♪」
        「でも・・・」
        「まぁ、これで誰が優勝とかってのはないと思うけどね★」
        「じゃあ・・・」
        「う〜ん、仮に誰かが優勝したとしても、明日のアンタとのデートはできないと思うけど?」
        「え?」
        「んっふっふっふ♪ 明日になればわかるって★」
        
        翌日。
        オリヴィエの予言(?)通り、優勝者はいなかった。
        また、いたとしても確かにアンジェリークとのデートは実現しなかっただろう。
        ルヴァとマルセルは風邪が悪化して寝込んでしまい、残った6人も筋肉痛や怪我で動けなくなっていたから
        である。
        「は〜い! おっ元気ぃ?!」
        元気な声をあげながら、オリヴィエはアンジェリークを連れて各守護聖達の私邸巡りをしていた。
        実に愉快そうに、楽しそうにアンジェリークを連れて、自分達を訪れるオリヴィエを苦々しく見る守護聖達。
        「んっふっふっふ〜♪
         やっぱり世の中、頭の良い者が勝ちだよね★」
        「え?」
        「何でもないって♪」
        守護聖対抗雪合戦大会の真の優勝者であるオリヴィエは、にっこり笑うとアンジェリークの手をとって
        ゆっくりと歩き出したのであった。
        
        

        
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

        氷魚様に捧げしお話です。
        リク内容はお正月か雪合戦で、光様と闇様のちょっとした話が入ったもの
        というリクに、オイラはもうどうしようもない駄文を送りつけてしまい
        ました(平謝り)
        そんなオイラに優しくも、イラストまで描いてくださった氷魚様!
        もうサイトは閉鎖してしまっていますが、とても素敵サイトさんでした。
        早く復活しないかなぁ、と心待ちにしているオイラです。


           
        氷魚ナオキ様のイラストはこちら!!


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